●イタリア発祥のスローフード運動
近ごろよく耳にするスローフードという言葉には、どんな意味が込められているのでしょうか。1986年、イタリアのローマにファストフード店が進出したことをきっかけに、均質化した食への危惧から食文化を守ろうとする運動が始まりました。ファストに対してスローな良さを見直そうというわけです。そこでスローフード協会というNPO(非営利団体)が北イタリアのピエモンテ州ブラという小さな町に誕生、現在では世界中に支部を持つ大きな組織になっています。このブラの国際本部を拠点に、次の3点を柱としてさまざまな活動が行われています。
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質の高い食品と、郷土料理や伝統料理を守る。 |
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地域に根ざした、質の高い食材をつくる小生産者を守る。 |
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消費者に味の教育を進め、とくに子どもたちへ食文化を伝える。 |
この理念をかたちにするために、消費者に正しい情報を届ける出版活動や、味覚の教室、農家ツアー、チーズの見本市などが開催されています。また2年に1度、トリノで大規模な食の祭典が開かれ、質のよい食材をアピールする国際舞台となっています。 ●わが家をスローフードな食卓に
日本においてもスローフード協会のイタリア本部に承認された支部が各地に設立されています。それぞれの支部では農産地ツアーや消費者の農業体験、加工食品の手作り体験教室などが開かれたり、食に関するシンポジウムが開かれたりしています。いずれかの支部に入会するのも、スローフード運動に積極的に参加する方法のひとつ。
それでは会員でなければスローフードを体験できないのかというと、けっしてそうではありません。伝統的な食材や加工品を守り、豊かな食文化を築こうとするスローフードの趣旨にそって、自分の食生活を見直してみましょう。一人ひとりがすぐにでも実践できることはたくさんあります。たとえば外食する際に、地ものの食材を扱う料理店を選ぶこと。毎日の料理に使う調味料に、本醸造の醤油や酢を使うこと。こうして消費者が良いものを選ぶよう心がけていくことが、食の質を守っていくことにつながります。家庭菜園でみずから育てた無農薬野菜などは、まさに究極のスローフード。たくさん採れたら手作りのお漬物にするというように、食卓が豊かになっていくことこそスローフードなのです。
●スローフードからスローライフへ
スローフードという言葉の浸透とともに、スローライフという言葉が聞かれるようになってきました。食卓から生きる喜びを提案し、本当に価値あるものを見直して、本物の贅沢を見つけようとするスローフードの考え方は、ライフスタイル全体へと広がっていきます。あわただしく疾走する時代に一息ついて、急がない人生を楽しんでみませんか。毎日の食事を大切にすることがきっと、豊かなスローライフへの扉を開いてくれるでしょう。 |