OREC米農家 福岡
近藤和幸さん

米農家 近藤和幸さん
米農家 近藤和幸さん

農業がやりたい

実は自分の仕事人生の中で、1番長かったのはオーレックの営業です。営業も非常に勉強になりました。今は自分が作り手としてオーレックのWM706を使って農業をしています。

元々は兼業で、稲作は細々と土日でやるぐらいだったんです。僕が食べ物に興味持ち始めたのが、20代の中盤ぐらいだったんですけど、毎年、花粉症でお医者さんに薬をもらいに行ったりしてなんでなったのか聞いても、体調がそうなってるから仕方がないと言われて。でも納得いかんって調べていったらやっぱり食べ物がでかいんじゃないかなって思ったんです。

それから本を読んだり、色んな所へ見学に行きつつ、食べ物がどういう風に生産されてるのか調べて、これはいかんな。この作り方はおかしいな。と思って、自分で納得のいくものを作りたいっていう気持ちが芽生えました。それが20代後半です。

40歳までには専業でやりたいっていう目標がありました。ただサラリーマンを辞めるっていうのは、かなり勇気がいるもので、僕が家族や友達とかに相談しても、みんな今のままが良いって言うんですね。だけど、どうしても作りたかったので、「農業がやりたいんです」って社長に言って、退職させてもらったんです。

米農家 近藤和幸さん

失敗を恐れない農業

僕はある有機農業の団体に入ってるんですけど、そこには色んな農業をされている方がいまして、年に2回くらい現地検討会に参加しています。現場を見ながら、色んな農家の方の話を聞いたりしています。こういうやり方もあるなって取り入れたりしてますね。「現代農業」っていう農業雑誌にも、色々載ってたりするのでそれを利用したりもしてますよ。

まあ農家は結構保守的なところがあります。例えば、稲であれば「稲作ごよみ」っていう各JAさんが配ってるものがあって、それにはいつ頃種植えて、いつ頃田植えして、この農薬を撒いてっていうのが書いてあって、結局それを皆さんずーっと続けてるんですけど、それをやめて失敗するのが怖いんですね。

周りの人や他の田んぼに迷惑かけるのは絶対ダメなんですけど、迷惑をかけない、自分だけの失敗はいいじゃないですか。だから僕は気にしないんですよね。

無農薬の難しさ

無農薬の1番難しいところは除草ですね。僕のところはジャンボタニシをつかう除草方法でやっています。ジャンボタニシに草を食べてもらって、苗はなるべく食べてもらわないよう、うまく付き合っていきます。ジャンボタニシは、水深が深い所を浮いて泳いで高速で動き回るんですよ。だから水を浅くして、動けない状態を3週間なり4週間なり維持します。苗が大きくなってきたら、もう苗は食べられない。それから水深を深くすれば、雑草をうまく食べてもらえます。それと大豆とかを撒いたりもしてます。去年のクズ大豆とかを巻いて、大豆を苗より先に食べてもらうっていう。ようは時間稼ぎですね。餌を意図的にやって、苗を食べてもらわないというやり方です。

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稲も人間と同じ

例えば人間も食べすぎると太りますよね。植物も化学肥料とか有機肥料とかをやると肥満状態になるって、僕は考えてます。僕はレンゲソウはむんですけど、それ以外は全く入れません。 しかも今の稲作は、けっこう密植するんですよね。僕のところは疎植そしょくっていって、荒く植えていくんです。間隔があるので、風通りが良いのと、光がたくさん当たります。そうして植物にストレスがあんまりないような環境で育てれば自動的に病気とか虫に対しても強くなるんです。たくさん人が乗ってる電車より、ガラガラの電車の方が人間も快適じゃないですか?それに結局密植にしたら、あんまり大きくなりません。疎植にすると稲の間にスペースが出来るんで、株が大きくなるんです。

化学肥料とかは基本的に窒素、リン、カリウムの3つが入ってるんですけど、実を言うと、植物ってのはそれ以外のものをたくさん欲しているんです。だから人間が勝手に作ったものをやるよりも、自然界に存在しているものをそのまま利用して、取り入れてやるほうがいいと思ってます。

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